メンテナンスの基礎知識
壁面緑化を維持していくためには、メンテナンスは欠かせません。また、メンテナンスをしっかり行う事が“成功の鍵”です。 以下に挙げるメンテナンスの項目は通常必要とされているものです。植物や環境によっても異なりますが、メンテナンスをする上での参考としてください。
カベルデのメンテナンス 5つのポイント
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1
灌水・施肥管理
壁面緑化は土壌の容積が限られているため、上水道による灌水が必須となります。
自動灌水装置は予定された日時に一定時間の灌水を設定することができます。植物の肥料となる、液肥の使用を考慮し、液肥混入器を設置する事が標準です。灌水量は、季節・設置条件によって異なります。したがって、季節ごとの設定(シーズンタイマー)や一定期間モニタリングの上、設置条件にあった灌水量の設定調整が必要と考えます。また、灌水装置の不具合は壁面緑化の枯死に直面します。異常時の警報が不可欠で、異常時に直接管理者へ連絡が入るシステムなど、速やかに対応できる体制が必要です。自動灌水装置によく起こるトラブルとして、施工・設置後の水道・電気系統のトラブル、配管・チューブの破損や詰まりなどが想定されます。みのる産業では、過去の経験より自動灌水システムのトラブルが回避できることによって、壁面緑化の枯死が激減しメンテナンスの簡易化に繋がると考えています。
新しい自動灌水装置について
みのる産業では、メンナンス業務の簡易化・安全性のためにセンサーが自動的に水量を計測し、注意が必要な場合にメールでお知らせをする機能を持たせた業界初の自動灌水装置を開発・販売しています。
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2
日射量
光は植物の生育上で最も大きな要因の一つです。ビルの谷間などでは場合によっては、緑化できないことがあります。一日の日照時間が4時間を越えない場合は植物の選定を慎重に行い、日照時間が1時間に満たない場合は、時間の経過とともにどんな植物を選んでも、必ず衰退してしまいます。この場合、同じ植物を継続して使用することは出来ないことを承知し、交換が前提と考える必要があります。また、壁面緑化を設置する方角は、植物の生育に大きく影響します。南面は日射量もおおくなりますが、その分乾燥しやすくなるという事があります。また、北面は日射量は多くありませんが、日中の温度差が安定しているという事がいえます。また、夏季は気温の高い午後に強い日射が当たる西側は植物に大きなストレスがかかります。斑入りの植物など、強光に弱い植物は避けた方がよいでしょう。多方角の壁面緑化を一括で管理する場合、灌水量などの調整が難しくなる場合があります。
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3
病害虫・防除
春~秋にかけて3~4回程度の薬剤散布が必要と考えます。病害虫は必ず発生するものではありませんが、発見してから準備・作業をした場合は後手になり被害がおおきくなります。病害虫によっては、感染の広がりが早いものもあり、美観に致命的なダメージを与えることがあります。壁面緑化の場合、建築物の意匠に関わり、枯れなどによる景観の劣化はおおきな問題となります。病害虫による被害の修復は費用も時間もかかります。予めメンテナンスのスケジュールに予防措置として薬剤散布を計画しておくことが必要です。
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4
剪定・清掃
春と秋など、年2回程度の剪定・清掃が必要です。壁面緑化で多く利用される、つる性の植物は生育も早く、上下の植物を覆い日射を防ぎ、欠株を引き起こす事があります。また植物は枯れなくとも葉は更新するため、水周りに枯葉がたまることがあります。排水が詰まると周囲に水があふれる場合がありますので必ず清掃を行います。
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5
高層建築のビル風・空調室外機
設置位置が高層でなくとも、ビル街では想像以上に強い風が吹くことがあります。強い風の元では、植物は気孔が閉じてしまい気孔蒸散が行われなくなります。蒸散が行われなくなると、浸透圧の関係で植物が必要とする栄養素を含んだ水が吸い上げられなくなり、光合成に必要な二酸化炭素も取り入れられなくなってしまいます。ビル風の通り道や、室外機の噴出しには設計の段階からできるだけ避けるようにしましょう。強い風が吹き続ける環境は植物の生育にはよいと言えません。
壁面緑化は、施工場所により高所作業者・道路使用許可が必要となるなど、必ずしもメンテナンスの作業性が良いとは限りません。また、巡回・観察は比較的頻繁に実施することができても、除草や防除作業の回数は出来るだけ抑えたいというのが実情であることは推察できます。おこなわなければならない作業を効率よく行うための綿密なスケジュールを計画しましょう。繰り返しとなりますが、しっかりとした計画と予防措置により、灌水トラブル・病害虫の被害等を起こさないことが壁面緑化にとって一番の成功の鍵といえます。
メンテナンススケジュール(参考)
ある事例において初期の計画スケジュールです。表にもあるとおり、灌水量については見直しを毎年行うこととしています。また、生育の観察も毎月実施することになっています。毎月の巡回が出来ない場合には、病害虫の発見が遅れる可能性があるため、予防措置として薬剤散布などを実施することが必要と考えます。
| 項目 | 実施方法 | 備考 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 灌水 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||
| ●自動灌水タイマーと点滴チューブによる実施 | ← | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | → |
灌水チューブの点滴穴が1ユニットにつき4つ開いています。1つの穴から出る水量は1.6L/hですので、1ユニットあたり6.4L/hの水が出ます。3ユニットで1㎡ですので1㎡当り19.2L/hの水が出る計算です。 ※注1 |
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| ●季節により水量、頻度を調整 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
| ●日灌水量の目安 | ||||||||||||||
| :春季 3~5ℓ/㎡(5ℓ/㎡字は2回に分けて実施) | 3L/日 | 5L/日 | 5L/日 | 毎日 3L/時…AMに10分間 5L/時…AM7時に7分間、PM6時に7分間 |
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| :夏季 6ℓ/㎡(2回に分けて実施) | 6L/日 | 6L/日 | 6L/日 | 毎日 6L/時…AM7時に10分間、PM6時に10分間 |
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| :秋季 3~5ℓ/㎡(5ℓ/㎡字は2回に分けて実施) | 3L/日 | 5L/日 | 5L/日 | 毎日 3L/時…AMに10分間 5L/時…AM7時に7分間、PM6時に7分間 |
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| :冬季 3ℓ/㎡(隔日:月水金土日) | 3L/日 | 3L/日 | 3L/日 | 1日ごと 3L/時…AMに10分間 |
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| 施肥 | ●液体肥料混合装置を使用して灌水に肥料を混合。 指定成分の液体肥料を濃度1/3000で灌水毎に施用。 |
← | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | → | N15-P6-K6(住友施肥1号)20㎏入り(推奨)を用いる。施肥タンク(500L)に10倍に希釈した液肥をいれます。 目安としては、水400Lに対し、住友液肥1号(20㎏入り)を2箱分入れてください。液肥混入器(ドサトロン)の希釈設定は、%目盛りで0.33、倍率目盛りで300となっていますので、合計3000培の希釈倍率になります。 |
| 消毒 | ●害虫・病気が発生した場合、直ちに消毒を実施 | 適宜実施 | ||||||||||||
| 剪定・誘引 | ●伸びすぎた枝葉の刈込み、枯葉除去実施 | ○ | ||||||||||||
| 除草 | ●同上、剪定作業時に実施および適宜実施 | ○ | ||||||||||||
| 補植 | ●同上、剪定作業時に実施および適宜実施 | ○ | 事前に補植苗の準備が必要 | |||||||||||
| 定期点検 | 植物の生育確認 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 月1回 |
| 害虫の発生確認 | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | 5月、9月は重点的に行う | ||||||
| 病気の発生確認 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ | 6月、9月は重点的に行う | ||||||
| 灌水装置の作動確認 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 月1回 | |
| 液体肥料の充填確認 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ※注2 | ||||||||
| 緑化パネル固定ボルトの点検 | ○ | |||||||||||||
※○は実施時期、◎は要注意時期を示す。
※注1 灌水量の見直し:植物は経年変化により水分の要求量が変わります。したがって、最も水分要求量が大きい夏に向け毎年6月に灌水量の見直しを行います。
※注2 400Lの液肥を使い切る時期は季節によって異なります。定期点検の項目「液体肥料の充填確認」欄の◎の付いた月初めに必ずタンク内の液肥残量を確認してください。
定点観測
壁面緑化ユニット植物定点観測 2009.5.10~2010.7.6
それぞれの植物の生育について、ありのまま を記録しました。条件は自動灌水装置(液肥混入器)による灌水と病害虫予防のための薬剤散布のみで剪定等は行っていません。生育の早さや姿などの変化を記録しました。
実施した植物のリストと植栽の配置図は以下の通りです。
常緑の植物だけでなく、落葉するものも含め観察を目的に植栽しました。
- 1
- セキショウ
- 2
- スゲ
- 3
- シマカンスゲ
- 4
- イノモトソウ
- 5
- ベニシダ
- 6
- オオバギボウシ
- 7
- シャガ
- 8
- ヘデラヘリックス・ビッツバーグ
- 9
- オタフクナンテン
- 10
- アベリア・エドワードゴーチャ
- 11
- アベリア・ホープレイズ
- 12
- ハイネズ・ブルーパシフィック
- 13
- ハイネズ・フィリフェラオーレア
- 14
- ヒメイタビ
- 15
- ユキヤナギ
- 16
- コクチナシ
- 17
- ワイヤープランツ
- 18
- ヒベリカム・ヒデコート
- 19
- ハクチョウゲ
- 20
- ヒメツルニチニチソウ
- 21
- スダジイ
- 22
- ヤマブキ
- 23
- マツバギク
- 24
- アスパラ・スプレンゲリー
- 25
- アスパラ・メイリー
- 26
- コルジリネ
- 27
- イワナンテン・アキシラリス
- 28
- ヒューケラ・シトロネル
- 29
- ヒューケラ・プラムプディング
- 30
- ヒューケラ・キャラメル
- 31
- ヒューケラ・パリ
- 32
- ヒューケラ・シナバーシルバー
- 33
- ヒューケラ・ファンタンゴ
- 34
- ヒューケラ・ハリウッド
- 35
- シャリンパイ
- 36
- サザンカ
- 37
- サカキ
- 38
- ヤブコウジ
- 39
- ベアグラス
- 40
- コデマリ
- 41
- ヤツデ
- 42
- ムラサキシキブ
実施した年の気象データは最寄観測点(岡山県和気町)で以下の通りです。
| 2009年 | 日平均 | 日最高(平均) | 日最低(平均) | 月最高 | 月最低 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 3℃ | 8.9℃ | -2.5℃ | 14℃ | -7℃ |
| 2月 | 5℃ | 11.2℃ | -0.6℃ | 18℃ | -5℃ |
| 3月 | 7℃ | 14.2℃ | 0.5℃ | 23℃ | -4℃ |
| 4月 | 13℃ | 20.8℃ | 5.2℃ | 30℃ | -2℃ |
| 5月 | 18℃ | 24.9℃ | 11.1℃ | 31℃ | 5℃ |
| 6月 | 22℃ | 28℃ | 17℃ | 31℃ | 10℃ |
| 2009年 | 日平均 | 日最高(平均) | 日最低(平均) | 月最高 | 月最低 |
| 7月 | 25℃ | 29.6℃ | 21.5℃ | 34℃ | 17℃ |
| 8月 | 26℃ | 31.4℃ | 21.7℃ | 35℃ | 15℃ |
| 9月 | 22℃ | 28.4℃ | 16.4℃ | 34℃ | 11℃ |
| 10月 | 16℃ | 23℃ | 10.3℃ | 27℃ | 5℃ |
| 11月 | 11℃ | 16.9℃ | 5.4℃ | 24℃ | -0℃ |
| 12月 | 5℃ | 11.6℃ | -0.4℃ | 18℃ | -6℃ |
(当地の登記最低気温は観測点より2~3度高めです。冬季には霜もおり降雪もわずかながら時折みられます。壁面緑化の基盤材は凍結することがあります。壁面は南東向き、全面3mの位置に2階建ての建築物があります。)
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①2009.5.10撮影
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②2009.6.24撮影
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③2009.7.27撮影
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④2009.8.28撮影
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⑤2009.9.26撮影
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⑥2009.10.26撮影
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⑦2009.11.14撮影
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⑧2009.12.24撮影
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⑨2010.1.26撮影
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⑩2010.2.23撮影
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⑪2010.3.27撮影
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⑫2010.4.21撮影

Q&Aよくあるご質問
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1m²当たりの重量はどのくらいですか?
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水は1日どのくらい使用しますか?
-
潅水装置はどのように通信をおこなっていますか?
お問い合わせは下記フォームより承っております












